予防歯科

「予防歯科」とは、虫歯や歯周病などの口腔内トラブルを未然に防ぐために行うケアや治療のことを指します。
歯や歯ぐきの健康を守ることは、全身の健康に直結し、長い人生を快適に過ごすためにも非常に重要です。
日常的なセルフケアだけでなく、歯科医院での定期的なプロフェッショナルケアが、トラブルを防ぐ鍵となります。

 

口腔内トラブルの原因



口腔内のトラブルは、様々な要因によって引き起こされます。
その中でも代表的なものは、「細菌の増殖」です。

口腔内には常に無数の細菌が存在しており、その多くはプラーク（歯垢）として歯の表面に付着します。
このプラークが食事の際に糖分と結びつき、酸を産生することで歯のエナメル質が徐々に溶かされ、最終的には虫歯が形成されます。

また、歯と歯ぐきの境目にプラークが蓄積すると、歯ぐきが炎症を起こし、歯周病へと進行します。
歯周病の初期段階では症状がほとんど見られませんが、放置していると歯を支える骨が破壊され、最終的には歯を失う原因となります。
このような口腔内トラブルは、適切なケアを行わなければ加齢とともに悪化することが多いです。

 

虫歯や歯周病を放置した場合のリスク



虫歯や歯周病は初期段階では痛みや不快感が少なく、多くの患者さまは「まだ大丈夫」と思ってしまいがちです。
しかし、これらの病気を放置していると、最終的には深刻な影響を及ぼす可能性があります。

虫歯が進行すると、歯の内部の神経まで達し、激しい痛みを伴うようになります。 最終的には神経を取り除く根管治療が必要になるか、場合によっては抜歯を行う必要が生じます。 また、虫歯が原因で体全体に細菌が広がり、全身に影響を及ぼす場合もあります。 たとえば、虫歯菌が血流に乗り、心臓や脳などの重要な臓器に感染する危険性も報告されています。

一方、歯周病を放置すると、歯ぐきの炎症が歯を支える骨にまで進行し、最終的には歯がぐらつき、抜け落ちることになります。また、近年の研究では、歯周病が糖尿病や心血管疾患、さらには早産などのリスクを高めることが分かっています。 歯周病を予防し、早期に治療することは、全身の健康を守るためにも重要な対策となります。

 

予防の重要性



これらの口腔内トラブルを防ぐためには、予防が不可欠です。

予防歯科の最大の目的は、患者さまが「治療を必要としない状態」を長く維持することです。
定期的な歯科検診とクリーニングを受けることで、虫歯や歯周病の早期発見・早期治療が可能になり、重症化を防ぐことができます。

予防歯科のもう一つの重要な役割は、患者さま自身が口腔内の健康維持に積極的に関与することです。
歯科医院でのプロフェッショナルケアと同時に、日常的なセルフケアを正しく行うことで、トラブルを未然に防ぎ、健康な歯と歯ぐきを維持することができます。

 

セルフケアとプロフェッショナルケアの違い



セルフケアは、患者さまが日常的に行う口腔内の清掃です。
具体的には、毎日の歯磨きやデンタルフロス、マウスウォッシュの使用などが含まれます。
これらは、歯の表面のプラークを除去し、虫歯や歯周病を防ぐために非常に効果的です。

しかし、セルフケアには限界があります。
特に、歯と歯の間や、歯ぐきの深い部分に付着したプラークや歯石は、家庭でのケアだけでは取り除くことが難しい場合があります。



一方で、プロフェッショナルケアは、歯科医院で行われる専門的なクリーニングや検査です。
歯科衛生士によるクリーニング（PMTC：Professional Mechanical Tooth Cleaning）では、普段の歯磨きでは届かない部分のプラークや歯石を徹底的に除去します。
また、歯科医師による定期的な検診で、虫歯や歯周病の早期発見が可能となります。

プロフェッショナルケアは、セルフケアでは届かない部分を補完する役割を果たします。
たとえば、歯科医院でのクリーニングでは、専用の器具を使って歯石を除去し、歯の表面を滑らかに磨き上げることで、細菌の付着を防ぐ効果があります。
また、歯科医師が患者さま一人ひとりの口腔内の状態を詳しく確認し、適切なケア方法をアドバイスすることで、セルフケアの質も向上します。



予防歯科は、単に口腔内のトラブルを未然に防ぐだけでなく、患者さまの全身の健康にも大きな影響を与えます。
毎日のセルフケアをしっかり行うことはもちろん重要ですが、定期的にプロフェッショナルケアを受けることで、セルフケアでは防ぎきれない問題を未然に防ぐことができます。

歯科医院での定期的な検診とクリーニングは、長期的に健康な歯を保つための最善の方法です。
当院では、患者さま一人ひとりに合わせた予防プランを提供し、生涯にわたって健康な口腔環境をサポートいたします。