睡眠時無呼吸症候群（SAS）

睡眠時無呼吸症候群（SAS）は、睡眠中に呼吸が繰り返し停止する状態が続く病気です。

この病気は、日常生活に深刻な影響を及ぼし、全身の健康にさまざまなリスクをもたらします。
SASは、睡眠の質を大きく損ない、生活の質を低下させるだけでなく、放置すると重篤な合併症を引き起こす可能性もあります。

 

原因



睡眠時無呼吸症候群の主な原因は、気道が物理的に塞がれることによって呼吸が止まることです。

最も一般的な形態である閉塞性睡眠時無呼吸症候群（OSA）は、喉の筋肉がリラックスしすぎることで気道が狭くなり、または完全に塞がれることから生じます。
これにより、酸素が十分に供給されなくなり、睡眠中に呼吸が止まってしまいます。

肥満、喉の構造的異常、扁桃腺やアデノイドの肥大、または遺伝的要因が影響することが多いとされています。

さらに、上気道の筋肉の緊張が不十分になることで、呼吸が一時的に停止する中枢性睡眠時無呼吸症候群も存在します。これは、脳が呼吸を調節する信号を正しく送信しないために発生します。

 

リスク



睡眠時無呼吸症候群は、身体的および精神的な健康に多くのリスクを伴います。
最も顕著なリスクは、慢性的な睡眠不足とそれに伴う健康問題です。
SASの患者は、通常よりも深い睡眠が得られず、夜間に何度も目を覚ますため、日中に極度の眠気や疲労感を抱えることが多くなります。

また、SASは心血管系に対する影響が大きく、長期間放置すると高血圧、心臓疾患、脳卒中のリスクが増加します。
睡眠中に頻繁に呼吸が止まることで、血中の酸素レベルが低下し、心臓が負担を受けるためです。
さらに、SASが引き起こすストレスや睡眠不足は、糖尿病や肥満などの生活習慣病のリスクも高めるとされています。

精神的な影響も見逃せません。
慢性的な睡眠不足により、集中力の低下、記憶障害、抑うつ症状などの認知的問題が生じる可能性があります。
これらは日常生活や仕事のパフォーマンスに直接的な影響を与えることがあります。

 

治療について



睡眠時無呼吸症候群の治療には、生活習慣の改善から始まり、医科歯科連携による治療まで幅広いアプローチがあります。
まず、体重の管理や禁煙、アルコールの摂取制限などの生活習慣の改善が基本的な対策となります。
これらの方法は、気道の閉塞を軽減し、症状を軽減するのに役立ちます。

また、睡眠時無呼吸症候群の治療には、医科と歯科が連携して行うことが重要です。
医科では、ポリソムノグラフィーなどの検査を通じてSASの診断を行い、適切な治療法を決定します。
歯科の分野では、マウスピースなどの矯正装置を用いた治療が行われます。
これにより、顎の位置を調整して気道を広げることで、睡眠中の呼吸を安定させることができます。

さらに、内視鏡による治療も選択肢として考えられます。
内視鏡検査を用いて気道の状態を詳細に確認し、必要に応じて外科的な処置を行うことで、気道の閉塞を解消することができます。
内視鏡検査は、微細な器具を使って気道内を直接観察し、治療の精度を高めることができます。

内視鏡による治療では、咽頭部や上気道に対して直接的なアプローチを行うため、閉塞の原因となる組織を取り除くことが可能です。
これにより、気道の広がりを確保し、呼吸の停止を防ぐ効果が期待されます。

睡眠時無呼吸症候群は、放置すると心身に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、早期の診断と適切な治療が重要です。
生活習慣の改善から始まり、医科と歯科の連携による治療、内視鏡による詳細な診断と治療など、多角的なアプローチが求められます。
症状に気づいた場合や、疑いがある場合は、ぜひ専門医に相談し、適切な対策を講じることが大切です。
当院では、睡眠時無呼吸症候群に関する詳細な診断と治療を提供しており、皆さまの健康な生活をサポートします。